(前回の続きから)
ドラえもんがハンドルを握り水中バギーが海底を疾走する。バギーは悪路走破性を主として作られた車で水中バギーもその性能を遺憾なく発揮した。
海底は地上と同じように様々な地形がある。大きく分類すると「大陸縁辺部」、「中央海嶺」、「深海盆底」の三つだ。ドラえもんたちが向かった場所は深海盆底の一つである北太平洋海盆。西は小笠原諸島、北はアリューシャン列島、東は北アメリカ大陸までとあきれるほど広い。グーグルマップの3D表示で地球を回してみよう。あまりの広さに驚くはずだ。
当初の目的どおりに深海魚を発見し、その姿かたちを見て楽しむ一行。マンガで得た知識をもとにそんな魚が本当にいるのかとネットで調べてみる。本当にいるんだ!と驚くことしきり。ドラえもんたちも未知の魚を見ては、その知識をバギーに求めた。
水中バギーには高度なAI(人口知能)が搭載されており、海に関するあらゆることが記憶されている。まして22世紀までの知識をもとにしているのだから答えられない疑問などないはずだった。のび太たち(ドラえもんも含む)の疑問にぶっきらぼうに答えていくバギーであったが、チョウチンアンコウの情報を一行が尋ねる前にバギーが説明をすると、のび太(?)がこう応えた。
「知ってる。光でエサをおびきよせるんだ。」
バギーから返ってきた言葉は以下の通り。
《知ッテルナラ最初カライエ。》
以降、バギーは何を聞いても返事をしなくなってしまう。
ドラえもんはバギーの性格を「よくない」とボヤき、のび太は「安物買いをするから」とドラえもんに文句を言うようでいてバギーをけなした。
その後、深海魚の多くいる場所で一行は時間を取るのだが、運悪く海底火山の噴火活動に巻き込まれてしまう。ドラえもんがバギーを操縦して脱出を図るが、海底のドロが舞いあがり視界が効かず、危険な状況に陥る。ドラえもんはバギーの自律走行モードを使用する。以下はマンガのフキダシを順に並べたもの。
「だいじょうぶかい、そんなポンコツコンピューター。」
「しっかりたのむぜ。」
《バカニシナイデクダサイ。ボクダッテブツカッテコワレタリシタクナイ。》
《前方ニ障害物発見!!》
《トビコエルカラシッカリツカマッテ。》
「ワッ!」「なんだあれは。」
「何十メートルもある大イカ? そんなものいるもんか。」
「いたんだよ!!」「ちょっとひき返して。」
《イヤデスネ。》
《早ク安全地帯ヘ逃ゲルンダモンネ。》
「ちぇっ、コンピューターのくせに。」
「ぼくらの山が見えてきた。」
のび太たちは、だれ一人怪我をすることなくキャンプ地へと帰還した。