(前回の続きから)

 どこでもドアは不思議な道具だ。使用者が願った場所へ一瞬で移動することができる。あらかじめドラえもんが指定していたのだろう、海面から数メートル上空に皆が現れ、そのまま海へと落下した。

 ここは太平洋ハワイ諸島から少し日本側に位置した場所だ。ハワイ諸島は海底火山によって生まれた島々で、太平洋プレートの移動にともない地球上を北西方向へ運ばれていく。海面より高く達した山が島となり、そうでなかった山は海底山、海山となる。ドラえもんは前もってキャンプに適した海山を見つけており、のび太たちを案内したのだ。

 ただ準備していたのは場所のみで、海面から二千メートルを降りた海山の頂上の景色はすこしさびしかった。テキオー灯の効果でのび太たちには海の中が昼間のように見えているが、本当は太陽の光が届かない暗闇の世界で、海草などが育たず、魚も見当たらない。景色のさびしさをしずかが口にすると、ドラえもんひみつ道具『深海用海草胞子と魚の卵各種つめあわせ』を使用して、夕方までにはにぎやかな景色になるようにしてくれた。そして『テントアパート』で個室付きの住居をこしらえ、『海底クッキングマシーン』で皆の望んだ料理を作って食事をふるまってくれた。快適すぎる環境にのび太は昼寝モードに移行するが、晩ご飯までの時間をどうするかドラえもんたちは話し合う。スネ夫は大西洋までドライブに行こうと言い出し(三日しかないキャンプでそんな時間は取れないとドラえもんに阻止される)、しずかは本物の深海魚を見てみたいと提案した。ジャイアンスネ夫も実物を見てみたいと興味をそそられ、一同は水中バギーで海底ツアーに出かけることになった。