困ったときにイマジナリードラに相談し、「そんなことは僕の知ったことではない」と言われる状況。ドラの行動はのび太に心身の負担が発生し、その負担の除去、あるいは達成を支援することから始まる。キャラ設定の能書きよりも主人公たちが今どういう状況にいるのか、どういう出来事に直面しているのかという「状況の設定」がキャラ立てにつながる。ジャンプSQ.漫画道場で葦原大介先生が言っていました。

 「どうしてきみは何の関係もない僕にそんなことを聞くんだ」

 『のび太の海底鬼岩城』がべらぼうに面白い理由の一つに、のび太たちに深海の脅威や陸上人に偏見をもつ海底人たちの差別、そしてポセイドンによる世界の破滅と、どうかしている「状況」が立て続けに発生し、ドラ、のび太、しずか、スネ夫ジャイアンたちが否応なく、反応・行動・選択・決断を迫られるサスペンスドラマの娯楽性があると思います。どうかしているといえば、海底人のエルはかなりどうかしている人物で常識的な海底人(の軍人)なら言うことを聞かない陸上人にビームぶっぱは当然の行為で、女子にボディタッチされたぐらいで前言撤回するのはギャグ要員と思われても仕方がない。捕虜の心理内面を調査(行動)し、危険性のない人物とわかるや謝罪(決断)し、色仕掛けで迷い(選択)、上司に確認もせず危険因子捕虜を釈放しようとする(どうかしている)。好きにならざるを得ない……。